相模原の農風景を通じて、相模原の農業情報をお届けします。
7月は夏野菜の最盛期です。
夏野菜と言えば、きゅうり、なす、とうもろこし、オクラなどがあげられますが、
相模原の美味しい夏野菜と言えば、やっぱり小俣園芸のトマトです!
7月上旬、梅雨半ばの貴重な青空の下で、小俣園芸のお母さん(小俣シゲ子さん)が作業にあたります。
小俣園芸は45,000㎡の農地で、トマトを主力に約20品目を生産する市内でも随一の大農家です。
「背が小っこいから、苗が伸びる前にやらないと手が届かなくなっちゃうのよ。」
今年で78歳となるシゲ子さん。
農家に生まれ、農家に嫁いだシゲ子さんが今日まで積み上げてきた知識と経験には計り知れないものがあります。
例えば、農作業の過程で出てしまう規格外品を「もったいない」と思い続けた気持ちを実現するために、平成7年からこの規格外トマトを使用したトマトソースの加工製造を開始。
「食べることは生きることの基本。だから、美味しいもの、体にいいものをたくさんの人に食べてほしいし、こだわって作るから、道具にだってこだわる。私は、母から受け継いだ木製のしゃもじで作るの。」と語るシゲ子さん。
「もったいない」の気持ちを実現し、こだわりのものを作るには製造技術や衛生管理の知識について学ぶことは必要です。しかし、その思いを伝え続けるには時代の変化やニーズについて常に学び、そして商品に反映させなければなりません。
シゲ子さんは、本やテレビ番組などで紹介された料理で気になったものはすぐに自分で作り、地域の農業技術センターに通い最新の技術や知識を身につけ、行政やJAの研修会には積極的に参加するなど、とにかく学ぶことに熱心です。
こうした学びの賜物のごとく、トマトソース以外にも、トマトジャム、たくあん、梅干し、奈良漬け、味噌などすべて手作りで加工・製造し、こだわりの美味しい食べものを私たちに届けます。
こうした活動が評価された結果、今年の1月に神奈川県から「女性農業者活躍表彰」を受賞されました。
その際のスピーチで、
「受賞されると知ったとき、主人に報告したら『ほとんど俺のおかげだな』と言われました。確かにその通りだと思います。主人の女性農家に対する理解や、家族の理解がなければ、私はここまで来ることができなかった。」と述べられました。
今から54年前に農家の長男である武士さんと結婚されたシゲ子さん。
「義理のお父さんに『シゲ子が荷を詰めると高く買い取ってもらえる。』って褒められたから、子供が生まれてからもずっと作業よ。だからその分、学校のPTA は主人にほとんど出てもらったの。」と以前、語られていたことがあります。
シゲ子さんが話されたスピーチの言葉の中には、そうして長年一緒に作業や子育てをしてきたご主人への敬意と感謝の気持ち、そしてご家族全員への愛情が込められています。
「日陰に咲くドクダミだって1枚写真に撮ってみれば、かわいいのよ。」
シゲ子さんは、何気なくそう語りますが、
「どんなことも一つ見方を変えれば、また違う価値を見出すことができる。」という意味にも思えます。
学ぶことを決してやめず、
家族や地域の人々とのつながりを大切にし、
普段の生活では気づかない大切なことを教えてくれる人。
こんなにも素晴らしい人が作る食べ物が相模原にあることはとても幸せなことです。
横山の住宅地の中にある畑で見るその小さい背中はとても偉大です。
☆小俣園芸直売所☆
【場所】 中央区横山台1-38
【開設時間】 月・水・土 14:00~17:00
【TEL】 042-761-1548